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『伊勢の布海苔の話』

2025.09.10

ブログ

『伊勢の布海苔の話』

僕のオカンは伊勢市東大淀町で生まれ育った。

爺ちゃん婆ちゃんはもう亡くなったんですが、今もオカンの姉夫婦が住んでいるので、度々顔を見に行きます。

昨日、お盆ぶりに訪れて世間話をしていたら伯母が

「そうそう!!大脇の布海苔(ふのり)工場が読売新聞に載ったんやで~」

と新聞を見せてくれた。

※読売新聞の「紡ぐプロジェクト」という特別版に4面にカラー掲載されてました。
※Web版の記事はこちら

伊勢-板布海苔-02
伊勢-板布海苔-03
伊勢-板布海苔-04

布海苔ってなんぞ?
大脇ってなんぞ?
やと思います。

オカンの実家は、田んぼや畑、漁業(海苔とか)いろいろやってたみたいなんですが、その一つの「板布海苔工場」は今も続いています。

正確には福井県の大脇萬蔵商店さんから任されて「板布海苔」づくりをしています。

板布海苔づくりは8月初旬の激暑の期間1週間程度でいっきに作業します。

工程は、

①でっかい袋がいくつもあり、その中に海藻のふのり(五島列島産など)が入っています。

②その布海苔を袋から出して、井戸水で貯めた真水のプールの中につける&薬品プールにつける。

③運動場ぐらいある広場に「むしろ」を敷いてその上に木枠を置いて布海苔を広げる。

④天日干ししてむしろごと回収・乾燥。

⑤むしろから板上になった布海苔を剥がして出来上がり。

ってな感じ。

\\ なぜ伊勢なんだい! //

福井県の会社がわざわざ東大淀で「板布海苔」を作っているかって!?

話によると、先代か先々代の大脇萬蔵商店の社長さんが全国で晴天が続く確率が高くて「板布海苔」づくりに適した環境(湿度とか風!?)を調べたところ「東大淀」が一番だったらしい。

\\ 布海苔は何に使われるんだい! //

「接着力・透明性・安全性・天然由来」あたりで、優れているようです。

毛筆をつくる際、表具(掛け軸や屏風など)の糊として、和紙の製造、着物の染めの際・・・。
そして、重要文化財の絵画や古文書などの文化財修復の際に使用されるみたいです。

\\ なぜ清吾がそんなに知ってるんだい!! //

ズバリ学生の時に伯母ちゃんちに住みこみでバイトしてから。

板布海苔づくりは10人~20人くらいの人手が必要でいろんな役割があります。
炎天下の中パワーも必要で、周りは60代・70代のおばちゃんばかりなので、若い男は重宝されました。

そして、何より給料がよかった!!

たぶん伯母がサービスしてくれた笑
ありがとう!!

ただ、なかなか大変で、特に朝。

うろ覚えですが、朝5時30分に起きて6時から作業開始。

11時くらいに一旦終わって13時くらいからむしろ回収(僕がやっていたときは1日250枚くらい)したり乾燥室に持っていったり、板布海苔を剥がしたり・・・って感じで16時くらい終了。

おばちゃん達と喋りながら作業をするので、布海苔のことが少々頭に残ってたって感じ。

ちなみに!!!!
布海苔を広げるときに使う「むしろ」。

コレほとんどが「我が村の甲賀産」でした。

僕の実家の前にもまだあるんですが、甲賀には「むしろ小屋」がいくつかあり、ばあちゃんらが集まってむしろを作って(むしろを打つと言っていたような)いました。

稲刈りが終わると、空地とかで藁(わら)を干していたのを覚えていませんか?

小屋には木製の機械みたいなのが何台かあり、藁をセットしてガチャン、藁をセットしてガチャン・・・みたな感じで編んでいって1枚のむしろが出来上がります。

僕の父方の祖母もやっていました。

1日やっても数枚しかできないと思うんですが、朝畑いって、何人かでしゃべりなが作業して帰るみたいなのが、良かったんだと思います。

\\ 最後に //

そんな布海苔ですが、何で読売新聞の特集記事(紡ぐプロジェクト)になったか言いますとベンベン!!

伯母曰く、板布海苔をつくっているところは全国でここ1件だけになってしまったとのこと。

でもめちゃくちゃ重要で、文化としても残したいってところから近年は大学の先生とかが見学・調査にきてたり、取材等々があったりするみたいです。

甲賀にはもう「むしろ」をつくっているところはおそらく無いですし「板布海苔工場」も全国に1件・・・。

昔から続くいろいろな文化やモノが消えゆく昨今。

こういった文化が継承されていくこと祈るばかりです。

\\ 最後に② //

板布海苔バイト中。

休憩のときに東大淀の商店「ハマサン」でアイスを買ってきてくれて、みんなで食べるんですが、めっちゃ美味かったなぁ。。

住み込みだったんで、晩御飯もよばれていたんですが、ちょうどこの時期は「トリガイ」が採れる時期。
伯父がビール好きだったんで、冷蔵庫には常にビールが冷えてました。
トリガイをつまみに呑むビール。
最高やったなぁ。。。

「板布海苔」づくりには毎年、大脇萬蔵商店さんの社員さん数名も伯母の家に住み込みで来ていた。
小さい頃から伯母の家に遊びにいっていたので、良くしてもらっていました。

ちょうど作業期は「大淀の花火」と重なることが多いんですよね。

伯母の家の屋上みたいなところに、みんなで御座を敷いて、親戚のみんなと社員さんたちと花火を観ながら呑むビール。
N部さんまたやりましょう!!笑

むむむ。
この記事が人気のようである。

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